映画紹介『Journey to be continued-続きゆく旅-』日本に住む外国人たちの“今”を多文化とアートの観点から表現したドキュメンタリー
日本に住む外国人たちの“今”を、多文化とアートの観点から表現したドキュメンタリー。
2017年4月に完成され、私もその試写会に行って来ました。
予告編
外国につながる若者一人ひとりが大きな壁をキャンバスに、刷毛やモップ、時には手や足に直接絵具をつけて、豪快に絵を描くシーンが大変印象的です。
監督によれば、その子たちは特に絵心があるというわけではなく、自由に描かせただけだそうです。そうして出来上がった絵の世界を語らせると、その若者たちの心象風景が立ち現れてくるのでした。
恐れや不安、悲しみ、そして懐かしさや希望・・・
そんな内面が、ぽつり、ぽつりとしたことばから、じわりと伝わってきて、見る人の心にさざ波を起こさせます。
高校進学のための学習支援教室の様子にも、カメラが接近していました。支援する側の方針と学ぶ側のニーズのずれについて対話する場面もあり、考えさせられます。
そして、学校でのいじめを苦にして「死のう」と考えてしまった子。外国につながる若者のおかれている厳しい現実を突きつけてきます。
決して平たんではない道。それでも、前向きに生きようと努力を重ねる若者。もっと勉強したいと願う若者。
そのひたむきさに思わずエールを送りたくなる、一人ひとりに会いに行きたくなる、そんな映画です。そして、制作側の寄り添う姿を感じさせます。
きれいごとではすまされない多文化共生。
外国につながる当事者だけの問題ではなく、地域のみんながいっしょに考えていくよいきっかけとなる映画です。
『Journey to be continued-続きゆく旅-』
監 督 :岩井成昭
出 演 :可児市国際交流協会「さつき教室」生徒 ほか、
可児市および周辺の外国につながる青少年
企画・製作:Sin Titulo
DVDをレンタルして試写会を主催することも可能です。
長江春子
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多様な若者たちについて、考えるきっかけになる
「多様性、多様性は大事」といいながら、ちっとも多様な人たちを受け入れようとしない日本の社会。
この映画には、印象的なシーンがありました。外国からやってき日本で生活している若者に日本語を教えるシーンです。
日本人でも書けないような難しい漢字を無理矢理に暗記させていて、とても心苦しかったです。
難しい漢字を書けないと、日本に住んではいけないというバリアを張っているような感じがしました。
地域によっては、多様な文化を持つ若者と接する機会のない人も多いです。
でも、日本の各地で、さまざまな若者が苦悩しながら暮らしています。
そういう姿を知り、多様性に関して思いを深めるために、いいきっかけをくれる映画です。
苦悩する若者たちがでてきますが、彼らの明るさ、強さが表現されていて、明るいトーンのドキュメンタリーです。
みらひらナビ編集長 いとう啓子
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