みらひらナビ編集長いとうのコラム「それぞれが自由に演奏するストーンズみたいに」
更新日:2021年6月4日
ギタリストの木越省吾さんから、ロックつながりでバトンを受けました。
私が中学生の時から大好きなローリング・ストーンズのことを書いてみます。とはいっても、音楽のことじゃないです。

ミック・ジャガーは独裁者じゃない
ストーンズといえば、もうすぐ結成60年になる、伝説のロックバンド。あまりにも有名だから、だれでも知っていると思う。
ボーカルでリーダーのミック・ジャガーは、今年78歳になるおじいちゃん。ひ孫までいる。
自分の一番下の子どもが、ひ孫より若いという信じられないスーパーじいさんでもある。
ミックさんはリーダーだけど、独裁者ではない。バンドのビジネス面では、バリバリのリーダーだけど。
音楽では、他の人たちと一緒にやっている。けっして「俺がやりたい曲をやれ」という押しつけはしない。
長年聴いたり見たりしているから、それは分かる。
ギタリストのキース・リチャーズ、ドラムのチャーリー・ワッツ、ギタリストのロン・ウッドと一緒に音楽作りをしている。
特に、キースと一緒に曲を作ることが多い。そのため、意見が合わずにぶつかることも多かった。80年代後半には大げんかとなって、あわや解散しそうになった。
今では、それなりに仲良くやっている。
キースは、こんなことも言っている。
「ミックと俺は、ぶつかることもあるけど、そういう摩擦がいいものを生み出してきた。貝の中の小石が、真珠になるみたいなもんだな」

個性が作り出すもの
ストーンズはメンバーひとりずつが個性的で、「俺は好きなようにやるよ」みたいな雰囲気で演奏する。
それでいて唯一無二のストーンズ・サウンドを作り出していく。
ライブを何度も見たけれど、統率のとれた演奏、というよりも自由奔放な音楽。
きちきちと決められたことをバシッと演奏する音楽ではない。そういう意味では、ブルースやジャズに近いと思う。
きっと、そんなところが、子どものときも感覚的に肌に合ったのだろう。
上から押しつけられない自由な感じ。ゆるくて、聴いているだけで自由な空間を楽しんでる気分になる。
ふと考えてみた。
会社やいろんな団体も、それぞれが個性を活かして自由にやりながら、ひとつのものを作れたらいいのに。
とっても難しいことだとは思うけど。そうすればストーンズみたいに、時代の荒波にも負けない強い組織になるのかも。
ストーンズを聴きながら、そんなことを考えた。
ストーンズは、私の人生のBGMみたいな感じ。
行き詰まったときに聴く曲は、
「You can't always get what you want.」(邦題は「無情の世界」)
「いつも欲しいものが手に入るわけじゃない。でも、なんかトライしてみたら、手に入るかもしれないよ」と歌うミックさんの声にいつも励まされてる。

いとう啓子