【新刊情報】「福祉の深層海流-地域福祉の起源・公共哲学の起源」永山誠 著

日本福祉文化学会研究委員会公認深読みプロジェクト主査、永山誠先生による「福祉の深層海流 地域福祉の起源・公共哲学の起源」が、11月1日にアネスト出版より発売されました。

A5判 176頁

1800円+税


今の福祉、どこかおかしくないですか?

「見えない福祉」を福祉専門職養成教科書の「深読み」で見つけました。

「権利としての社会福祉」に対する「公共政策型」の福祉、

「共生型」に対する「非共生型」地域福祉です。


「行政側の社会福祉」は、1979年「新経済社会7カ年計画」で再定義された「見える福祉」と「見えない福祉」の二重構造で、<おかしさ>はこの構造に起因します。<時代の変化>に即せば、「見えない福祉」の哲学が「21世紀の公共哲学」になります。


本書は21世紀の<「見える福祉」「見えない福祉」の二重構造>を解読し、<不信や対立が克服できる共生型文化>の課題を考えます。


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目 次

第1話 社会福祉のあゆみと地域福祉

1.発端―二重構造の奇妙な福祉

 (1)常識の誤り?―地域福祉には二つの系譜がある

 (2)「公共哲学を重んじない」公共政策学

 (3)「セキュリティを考慮した」地域福祉?

 (4)隠された地域福祉モデルの発見                     

2.ことばの予備的説明-社会福祉がない時代・社会福祉のある時代 

 (1)社会福祉ということば

 (2)地域福祉ということば 

 (3)地域福祉史の“タタキ料理”

 (4)社会福祉と地域福祉の係わり


第2話 見えない地域福祉の源流 

 1. 社会保障制度審議会「1950年勧告」と「1995年勧告」

  (1)政労使が共有した「権利としての社会福祉」

  (2)「権利としての社会福祉」<対応>の「1995年勧告」

  (3)自己責任についての考察―<自分で自分の始末をつける> 

 2. 日本型福祉社会論のキーワード:地域福祉

  (1)地域福祉ということばの最初の使用

  (2)1945年沖縄戦に端を発する<4つの偶然>


第3話 地域福祉の“初形初義”―陸軍中野学校の沖縄戦     1.秘密戦士2500余名の養成

 2.陸軍中野学校の「沖縄戦=護郷隊」

 3.『国内遊撃戦の参考』と「21世紀の地域福祉」の対比

  (1)秘密戦の「事前準備」の目的

  (2)秘密戦の「事前準備」の方法

  (3)民衆意識の操作と実施原則

  (4)飛躍し過ぎた解釈の反省

 4.陸軍中野学校卒業者の戦後


第4話 「財界の四天王」桜田武の福祉思想

 1.日本の針路と三島由紀夫をめぐる人間関係

  (1)「汝の敵を大切にせよ」

  (2)自衛隊内改憲派の分裂

  (3)山本舜勝の思策と桜田武の思索

 2.何が危機か―体制危機対応(セキュリティ)型の福祉思想?

  (1)課題としての<新たな福祉概念>の創出

  (2)日経調報告書『福祉とは何か』の福祉哲学

 3.危機対応(セキュリティ)型の総合福祉政策

  (1)最初の「行政側の地域福祉」構想―自由民主党『福祉社会憲章』(私案)

  (2)セキュリティ型の総合福祉政策

  (3)公的福祉の再定義(1979)


第5話「福祉機能の内部化」の意味―東京都の地域福祉研究

 1.戦後社会福祉の終息宣言

 2.伏せられた一連の福祉資料の“山”

  (1)「行政側の地域福祉」のスタート地点?

  (2)ブルーシートで覆われた資料の束

  (3)地域福祉と「福祉の文化の創造」

 3.地域福祉に「内部化」された危機管理システム

  (1)日本型福祉社会をつくる地域福祉計画

  (2)危機管理型セキュリティシステムを「内部化」する地域福祉計画

  (3)「地域社会全体の活性化」をめざす地域福祉計画

 4.岡村重夫地域福祉論の対極にある「行政側の地域福祉」

 5.山本舜勝はなぜ地域福祉に着眼したか?

(1)陸上自衛隊調査学校―「対心理情報課程」

  (2) 「長期的な心理情報戦略」


第6話「影の福祉」―日本人の意識をつくりかえる

 1.絆の解体―自己責任から不信・対立の覚醒へ

  (1)思考原理としての「自己責任」

  (2)不信感の覚醒

 2.新たな福祉の課題:「普通の生活を妨げるもの」への<対処>

  (1)「暮らしの不安」の“はけ口”

  (2)監視・情報提供が自己実現につながる?

  (3)ケースワークの技法と人的情報収集の技法の違い

  (4)「人のつながり」の監視と通報

 3.<新たな社会秩序の確立>をめざす福祉文化

  (1)福祉のまちづくり

  (2)地域共生社会:「権利としての社会福祉」を福祉で制する?


第7話 100年間<文化の力>を掘り起こす

 1. <三位一体>構造の「行政側の福祉」

 2.「21世紀の福祉社会」はどうなるのか?

 3.「行政側の地域福祉」成立史の深層

 4.危機管理型総合安全保障(セキュリティ)国家の限界

 5.21世紀の社会福祉思想=「自由と自己決定」への回帰


結論―福祉社会の前進と後退の座標軸

 1.公共哲学の起源は地域福祉の歴史にある

 2.「福祉の歴史研究」に関する座標軸の発見


著者 永山 誠(ながやま まこと)

高知県立高知女子大学(現高知県立大学)社会福祉学部開設準備室、同学部を経て、昭和女子大学大学院特任教授で定年退職。前日本福祉文化学会副会長。

現在、日本福祉文化学会研究委員会公認「深読みプロジェクト」主査、長崎純心大学大学院非常勤講師。


専門分野:福祉政策史、地域研究、中山間研究。


担当科目:地域福祉論、社会福祉原論、比較福祉文化論等。


単著『戦後社会福祉の転換』(1993)、『社会福祉理念の研究―史的政策分析による究明―』(2006)、他。共編共著『福祉文化学の源流と前進』(明石書店、2011)、及び『世界の社会福祉』(旬報社、全12巻)の企画構想、編集及び執筆。一番ヶ瀬康子著作集(全5巻)、若月俊一著作集(全7巻)、朝倉慎太郎著作集(全3巻)『社会保障運動全史』の編集等。