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書籍「小春のあしあと」著者、長江春子さんのコラム「家事は夫婦で協力して。食卓も多文化!」

更新日:2021年6月14日

 うちには主婦と主夫がいます。

 共働き夫婦なので、家事は体力があるほうが多めにやる、やれる時間と気力のある人がやる、という暗黙の了解があります。


 そういう訳で、たとえ夕方私が早く帰宅して、疲れてリビングに寝転がっても、夕食を作っていない罪悪感を覚える必要がありません。


 後から帰ってきた主夫がさっと台所に立ち、おいしい夕食を作ってくれます。先に帰った人が料理を作っている途中でもう一人が帰ってくると、即チームに加わります。また、その時々の気分でシェフとスーシェフが交代します。



 私が小さい頃、中国北部の田舎に住んでいました。北部の男性は南部の男性に比べて「亭主関白」だとよく言われています。


 特に田舎では男性が野良仕事、女性が家事をするものとされていました。もちろん、母も野良仕事を手伝いましたが、家族の食事を作るのはもっぱら母の仕事でした。お料理をする父の姿はあまり記憶にありません。


 その頃、都市部に住んでいた親戚の家にたまに行くと、男主人の手料理でもてなしてもらえるのが新鮮でした。都市部では夫婦共働きがふつうで、お料理する男性がゴロゴロいたのでしょう。

 子ども心に「いいなあ、私も将来、お料理できる人と結婚したい」と思ったものです。その願いが叶った形です。


 そんな父親の背中を見て育った中学生の娘が言います。将来パパみたいに家のことをやってくれる人と結婚したいと。

 「いいぞ、その心意気でいい人を探そうね」とけし掛ける私なのでした。日本でも最近、お料理を嗜む男性が増えたので、娘の願いも叶うことでしょう。


 北部の内陸で育った私。魚米之郷と呼ばれる揚子江文化で育った夫。慣れている食材も味付けもまったく異なります。それぞれのソウルフードに、子らが学校の給食で慣れ親しんでいる和食と洋食を加えて食卓を満たし、家族揃って食べられる有難さを噛みしめる……。


 多文化な食卓は多様性に寛容です。


 娘には好きなオムレツ、息子には好物の茶碗蒸し。娘にはハンバーグで、息子には焼肉。朝、子らはパン食で、大人はご飯。サラダのドレッシングだって、娘は和風しそで、息子は塩レモン。パパはポン酢で、ママはピエトロ。

 そんな具合に、できるだけ各々の好みに合わせます。忙しい日常では料理にかけられる時間がごくわずか。


 それでも、子らに「今日のご注文は?」と聞けるのは、シェフが二人いるからこそです。


長江春子(小春)


★長江さんの書籍「小春のあしあと」詳細はこちらへ


★長江さんが担当しているプロジェクトのひとつ、多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」2021年夏プログラム(オンライン第4回)

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