キックオフセミナー「インターネット市民塾 約20年間の市民講師400人のチャレンジ」レポート3:コミュニティ型の学びとは
更新日:2021年6月25日
5月30日、ICBCキックオフ・オンラインセミナー「インターネット市民塾 約20年間の市民講師400人のチャレンジ」を開催しました。
NPO法人地域学習プラットフォーム研究会理事長で、総務省地域力創造アドバイザーの柵 富雄(さく とみお)さんに、富山から登壇していただきました。
前回に引き続き、第3回目のレポートをお送りいたします。
★第1回目のレポート「インターネット市民塾ってなに?」はこちらへ
★第2回目のレポート「市民講師から道が開ける」はこちらへ
教授型と違う、コミュニティ型の学びとは
こんな内容です‥
市民講師の講座に、刺激を受ける
市民が学び合う「コミュニティ型の学び」とは
働き盛りや、子育て中の人が参加した訳は?
市民講師に共感し、考え方が広がる
インターネット市民塾を受講した人は、大きな刺激を受けている人が多かった。
柵さんは、主な感想を紹介してくれた。
主な感想は下記のとおり。
・テーマを持って、活動している市民講師に共感した
・幅広い世代の人の考えに触れた
・自分にも経験や学びを伝えることができそうだと思った
・これまでの経験を他の人につなぎたいと考えた
・与えられる仕事より自分で作る仕事をしたいと考えた
・仕事だけでは広がらない新しい自分を作りたいと考えた
・プロとして、さらに自分を高める必要性を感じた
・これからの時代に必要なことを一緒に学びたいと考えた。
受講した人の中から、第2回レポートで書いたように市民講師になっていく人も多かった。
一方では、講師にならなくても、同じ地域に住む多様な人たちの知識、経験知などに触れ、気づきを得た人も多かったに違いない。
教授型とは違う、コミュニティ型の学びとは
インターネット市民塾の大きな特徴は、市民同士が学び合うこと。市民講師と受講生が、ヨコの関係の中で学び合った。
学校での教授型(タテ型)に対して、インターネット市民塾で行っているのはコミュニティ型(ヨコ型)であると、柵さんは語った。(下図を参照)

教授型は、学校で行われている先生から教えてもらう形。教える先生と、学ぶ生徒の関係はタテ型。
これに対してコミュニティ型は、参加者同士で、経験やノウハウをお互いに引き出してお互いに学ぶ形。
インターネット市民塾は、まさにコミュニティ型の学びを実践していった。
コミュニティ型の学びは、知識を持ち寄る学び
生活の場、地域課題の現場から
住民がお互いに経験やノウハウを引き出し合いながら、新たな知恵を生み出す学び
(図の右側がコミュニティ型の学び)

インターネット市民塾が目指す枠組みとして、柵さんは次のように語った。
・安心して参加できる場。小さなチャレンジができる場
・実践活動が育つコミュニティ
・市民が自分でデザインする教室
・経験、プロフィール、学びの貯金箱(公開されない場)

最後に、柵さんは次のようにまとめて講演を終えた。
・人は一人では自分を学べない
・肩書きを外した自分に何ができるのか、そのときになって悩む人は多い
・市民講師を目指す過程にたくさんの学びがある。
・他者や社会との関係を考え、明日からの新しい自分を見い出す
・市民講師デビューは「人生100年時代」の生き直しのための「創造的試行」
柵さんは、これまでの経験、事例を書籍「生涯学習eプラットフォーム―私の出番づくり・持続可能な地域づくりの新しいかたち」にまとめ、出版している。
【質疑応答】
働き盛り、子育て中の人も参加したのはなぜ?
最後に参加者との質疑応答が行われた。
その一部を紹介したい。
Q:働き盛りが多いのはなぜ?
ネットの力が大きいと思う。いつでもどこでも参加できるということで、参加しやすかったと思う。企業に説明して回り、企業が応援してくれたことも大きかった。また、子育て中の人の参加も多かった。外にでかけにくい方も参加された。
Q:悩んでいる人が参加したのはなぜだと思うか?
悩んでいる方は、仕事と家庭の間に別の場が必要なんだろうと思う。インターネット市民塾には、入りやすい要素があった。会社にも家庭にも分からないように入れた。閉じた場だったので、安心して活動できたこともよかったと思う。
Q:講座の参加費はどうやって決めたのか?
受講料は、市民講師に決めていただいた。市民塾は、講師から年会費をもらって運営していた。
Q:学生の参加は?
シニアと学生が学び合う場も作った。学生がICT講座を開催したり、学生がシニアから社会を学ぶ講座もあった。
(まとめ・みらひらナビ編集長 いとう啓子)